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もう何もかも

殴り書きレベルで書いて、推敲してないものですが、
よろしければよろしくです。

昔書いた小説です。
私はまだ仕事とかしてなかったです。

実験的に載せてみます。
『もう何もかも』

 2010年四月一日。近藤知樹は新入社員としてこの日から働くことになった大手電気機器メーカーO社の入社式に参加していた。ホテルのパーティールームを借りて行われる入社式は、学生の時では想像がつかないほど立派なもので、近藤を含め多くの新入社員がキョロキョロと辺りを見回しては、その荘厳さに見とれていた。
 入社式が始まると、新入社員一同が綺麗に並び、重役や社長の演説を聞く。この時近藤は今まで実感できなかった「社会人」という立場になったことを強く認識したのだった。社長の演説の技工もあったかもしれない。しかし、心の底から近藤はこの会社の社員となったことに誇りを思い、将来に思いを馳せる。
 近藤は学生の時、電気とは全く関係のない文学部に所属していた。特にバイトもせず、サークルにも所属せず、やっていたことといえば本を読んだり酒を飲んだり、小説を書いたりして遊んでいただけだった。大学三年生の冬から始まった就職活動ではまるで周りに流されるかのように行動していた。そんな近藤が就職活動で成功を収めたのは、恐らく「嘘」が巧かったからだろう。製品の技術的な部分には携わらない営業部に応募した彼は、「他人と接することの喜びを熟知している」自分を演じることによって採用側に好印象を与えて見事内々定を獲得したのだった。
 しかし、そんな過去はもう関係ない。入ってしまえば近藤はそこの新入社員として受け入れられ、過去の実績とかは関係がなくなる。近藤は新たなる人生を歩むことになるのだ。
 O社の入社式が終り、二次会の飲み会では、上司と混じって思い思いの将来ビジョンを語っていた。近藤が語った将来ビジョンは、就職活動の時に述べた事の延長だった。営業部として活躍することで自社製品を広めて電子機器産業の発展、もとい人間社会の発展に貢献したい。そしてその活動を通して、自分自身のコネクションとコミュニケーションを強め・・・。
 これらは既に「嘘」ではなくなっていた。たった数時間前の入社式の最中ではあるが、近藤は本気でこのビジョンを持つようになり、先輩や同期に語ることにより更にこの意識を強くしていった。

 研修期間が始まると、近藤含め全ての新入社員が、社会人としての基礎を叩き込まれる。叩き込まれると行ってもそんなに辛いものではない。基本的な敬語の研修や、営業とは、会社とは、O社の歴史とは、電気機器とは社会的にどの様な位置付か等々、知識的なものを集団で学ぶものであって、決して体を使った体育会系の研修では無かった。
 研修中の宿泊先で、近藤は同じ部屋に居た鈴木孝昌と知り合った。鈴木孝昌は学生時代に電気電子を学んでいたが、営業部としてこの会社に就職してきた。近藤がなぜ技術部ではなく営業志望だったのかを問うと、
「俺は電気電子を学んで知識もある。もし技術部に配属されても問題なくやっていけたと思う。でも、俺がやりたいのは、その電気電子の素晴らしさを世間に広めることなんだ。だから、営業という最前線で商品を提供するっていう立場に立ちたかったんだ」
と言っていた。近藤も、電気電子の知識はないが、目指すところは同じであった。この日は消灯後も暫く小声で自分たちの夢を語り合っていた。

 研修が終わり、土曜日曜と会社が休みになった。近藤は地元の両親に、入社式や研修の感想を話したいと思い、二日という短い休日を利用して帰ることにした。O社は東京にあり、実家は静岡県の浜松である。近藤は土曜日の朝急遽母親に連絡をして、今日帰って明日の夜東京に戻るという旨を伝えた。
 帰りの新幹線の中、近藤は周りの人達を観察した。スーツ姿で新幹線に乗ってビールを飲んでいるオジサン達を見て、自分もこの人達の仲間入りを果たしたのだと思った。自分のサラリーマンを見る目が、学生時代の頃と大きく変わっていたのだ。今日はスーツを着ていないが、自分も彼らと同じ社会人であり、社会に貢献する一人の人間であると感じ誇りに思った。
 静岡の浜松駅に到着すると、改札をでたところで母親が待機していた。最後に顔を合わせたのは四ヶ月前の正月だった。近藤は母の顔が懐かしく思えた。恐らくそれは、今まで「子供」であった自分が、「大人」として成長した事が関係していたのだろう。まだ初任給は出ていなかったが、家族の為に買ってきた東京の土産菓子を渡すとき、近藤は「一人前になったよ」と言わんばかりに笑顔で紙袋を渡す。
 夕食の食卓で近藤は父と母に研修の事を話した。
「どうだ知樹。会社ではうまくやっていけそうか?」
「勿論。いい会社だよ。社長も役員も、同期も先輩もみんな意欲的で、頑張ろうって気にさせてくれるところだよ」
母は話を聞いているが、黙っている。専業主婦として生きてきたので、会社の話には極力首を挟まないというのが母のスタンスだった。
「社会人になって、男として社会に貢献するってことに、今はすごく希望をいだいているんだよ。父さんみたいにちゃんと働いて、結婚…は出来るかどうか分からないけど、頑張って家庭を持って暮らしていきたいなと思ってる」
「そうか。お前も立派になったな。もう父さんはあまり言う事はないな。お前が良いように頑張って幸せならそれでいいんだ」
父が恥ずかしそうにそういうと、母も、
「私もそう思います」
とだけ言った。

 一泊二日の実家帰りを楽しむと、すぐに仕事が始まった。とは言え、初めは先輩営業マンの書類を整理したり、実経験を積みながら研修の延長をするような感じだった。近藤はまだまだ軽度ながらも「責任」を負わされる仕事を体験しているのだ。日々の緊張感と、「成長している」という高揚感が、毎晩心地よく眠らせてくれる。
 近藤は営業部の同期や先輩とも上手く付き合っていたが、最も親しくなったのは鈴木であった。ある日の終業後、二人は会社の近くにある居酒屋に行って酒を飲んだ。そこで鈴木は自分が如何にこの仕事に適しているかを話してきた。近藤も負けじと自分の今の仕事が、「自分」というものに如何に適正であるかを、昔話を交えながら話した。
 しかし、近藤は自分が小説を書いていたことなどは言えなかった。もしかしたら、心の奥底で小説家になりたいと試みていたを、、今の自分と遭わせては行けないと思っていたのだろうか。
 その日、近藤は家に帰り、自分のパソコンを開いて自分の昔の作品が収めてある「自作小説」という名のファイルを開く。中には高校生のときから作っていた自分の作品が十数点、そして友人が送ってくれた感想などを纏めたファイルが入っていた。近藤はそのファイルを見ると過去の自分を強烈に思い出す。あの、自室でダラダラと小説を書いていながらも、それが最高に楽しかったことの記憶。友達に小説を渡すときや、感想を受けるときの緊張感。
 このままこのファイルを見続けていたら、今の自分に疑問を抱きすぎて崩壊してしまうと思い、近藤は急いでパソコンの電源を落とした。いつもより力強くパソコンを閉じる音が、一人暮らしのアパートに響き渡った。「バタン」。気のせいか、その音は木造の六畳間に、なんども反響して、なかなか消えないように思えた。
 そのまま彼は電気も消さずに布団に入り、顔を枕で押しつぶして少し考えた。「あの頃」の自分と、「今」の自分で、一体ナニが変わったのだろうか。決定的に変わったのは自分がO社の社員に成り、学生の時みたいなアヤフヤな身分では無くなったということだろう。そして、小説家というガキみたいな夢を捨て去った、立派な「大人」になった点だろう。しかし、近藤はこの答えにも、疑問を抱き始めた。「結局僕は、何も変わっていないのではないのだろうか」と。なぜなら今考えた「昔の自分との比較」の中にも「嘘」を含めてしまっていると思ったからだ。しかし、就職活動の時のように、「嘘=心にも思っていないことを言う」とは違っていた。今回の嘘が具体的にどのような嘘なのか説明は出来なかったが、確かにそこには嘘が存在していた。
 そう考えると、今までの人生の全てに「嘘」が含まれているような気がした。しかし近藤はここでも、「嘘」が何を意味するのかは説明出来なかった。ただ、その「嘘」という言葉を認識し始めた途端、突然自分という存在に不安を抱き始め、この日、近藤は寝られなかった。

 しかしそんな考察は一過性の物に過ぎなかった。近藤は次の日会社に行くと、仕事に洗い流されるようにしてそんなことを考えるのを止めた。少なくとも業務にはなんの役にも立たない考察をするよりは、今は仕事の手順を覚えたり、己の社会人のスキルを磨くことの方が大切だと考えたからだ。後日鈴木に、「一瞬だけだけど、そういうことで悩んだ」と酒の席で相談したときは、笑って話を聞かれた。ただそれだけだった。
 仕事を初めて一ヶ月が経ち、新入社員達は初めての給料をもらうことになった。給与明細に書かれた数字は学生時代の自分では稼ぐことのできないような(近藤はバイトなどしたこと無かったが)額であった。近藤を含め多くの新入社員がこの時点で自分の仕事に完全に満足することとなるだろう。時間を割いて金を儲けるというのが、社会一般男子の生きがいである。
 そしてなにより、丁度一ヶ月が過ぎる頃に「仕事」というものの全体像が把握出来るように成り、面白くなってくる時期であった。上司や同僚の顔と名前が一致するように成り、それぞれの特徴や、仕事内容を把握してコミュニケーションが円滑に行えるようになった近藤は、今まで以上にO社で働くことを楽しく感じていた。

 二ヶ月が経過しようとしていた時、新入社員の一人が辞表を提出した。山内という経理に配属された男らしいが、近藤はあまりその男と話したことも無かった。なんでも噂によれば、山内は入社して一ヶ月の頃から「自分のやりたい事とは違った」と言っていたらしい。定期的に開かれる新入社員が大勢集まる飲み会では、「山内の精神的な弱さはどこから来たのか」という議題で盛り上がった。鈴木は笑いながら、
「苦難を頭で処理出来なかった馬鹿だったんだよ」
と言う。それに対して他の同期も同意していた。近藤はどうしてもその意味が理解できなくて、
「苦難を頭で処理って、どういう意味なんだ」
と質問をした。それに対する返答は、
「みんながみんな全てに納得なんて出来ないんだよ。だから、納得出来ないことには目を逸らす事が大切なんだ。山内は理想ばっかり追い求めてたいからこうなったんだよ。それじゃあ社会人やっていけないね」
であった。
 近藤はそれを聞いて少し不安な気持ちになった。同時に、入社して一週間の頃、あの「自作小説」のファイルを見た時のことを思い出していた。あのファイルの中に詰まった自分の理想と、自分はどう付き合って行けばいいのか、答えは出なかった。もしかしたら、完全に目を閉じるのが最良なのかもしれないと。
 帰宅した近藤は部屋の明かりを点けるより先に、パソコンの電源を入れた。そしてあの「自作小説」のフォルダをクリックして、ゴミ箱へ引っ張って、落とした。ここまでの動作は簡単に行えたが、「ゴミ箱を空にする」を押そうとした瞬間、その作品と向い合ってきた5年間が脳裏を過ぎった。社会人になった今となっては、必要のないものなのかもしれない。しかし、この作品たちは紛れもなく近藤が書いたものであり、近藤の人生の一部となっていた。
 近藤は「ゴミ箱を空にする」を押さずに、「ファイルを元に戻す」を押す。

 近藤はその後、寝ようとしたが、眠れなかった。山内という人間のことはあまり知らなかったので、想像するしか無かったのだが、恐らく彼も過去の自分と今の自分の対比に勝てなかったのだろう。思い返せば社会人になったこの二ヶ月の間、多くの人間が多くのものに目を瞑りながら生きてきたのだろう。大学生時代の頃、バンドやスポーツを本気でやっていた人間は何を思って、電気電子なんかをやるのだろうか。例えば小学生の頃から野球をやって、甲子園まで出て、大学生になっても野球部に所属しているような奴なんて、数字で言えば16年も野球をやっていたのだろう。そんな人間の大半がプロにはなれず、会社に就職するのだろう。今まで毎日のように楽しんできた野球は、社会人の部活になって週に一日程度しか出来なくなっただろう。そうなると、そいつの人生の大半を占める「野球」をどこにしまっておけばいいのだろうか。
 近藤の場合は「自作小説」ファイル。どこにしまっておけばいいのだろうか。捨てられるはずも無いのだから。

 この夜、近藤は一睡も出来なかった。頭は疲れており、目も瞑っていたのだが、思考がどうしても頭から離れず、夢と現実の狭間を行ったり来たりするような夜を過ごした。朝起きると、徹夜明け以上の疲労感が近藤の体に残っていた。しかしそんな状態でも近藤は会社に行かなければならなかった。
 会社に着いて朝の挨拶を交わしていると、鈴木がやってきて、
「おはよう。元気が無いじゃないか?二日酔いか」
と笑いながら近藤に言う。
「そうだな。どうやら飲みすぎたようだ」
と近藤は嘘をついた。彼は会社の同僚に、自分を山内と重ねてしまったことを悟られないようにしてしまったのだ。
 その日は、会社に入って初めて派手に怒られた。朝のメールチェックにて、客先からの連絡の確認を怠ったためだ。会社の利益には特に大きく響くものではないのだが、会社同士の信頼関係に傷がつくとして、上司に強く注意された。この日近藤は、仕事に全く手がつけられなかった。寝不足による体調不良もあるのだが、それ以上に自分の行動や発言全てに、かつて学生だった頃の自分の影を感じて、集中出来なかったのだ。
 退社時刻が近づく頃、既に近藤は立っていられないほど疲弊していた。それを見た同僚は近藤に残業はせず定時で帰ることを提案してくれた。もちろん、近藤もその好意に預り、定時に帰ることにした。
 家に帰り、アパートの鍵もかけず、スーツのままベッドに入り、泥のように眠った。

 朝、人の気配を感じて目が覚めた。ベッドの横には、自分と同じくらいの男が一人、窓の逆光に照らされながらこちらを見ていた。初めの頃は光で姿や顔は見えなかったが、目が慣れてくるに連れて、その男の容姿を確認することが出来た。男は近藤だった。私服を着て、悲しそうな目でベッドの上に寝転がる近藤を見つめていた。近藤は驚いて声も出せなかった。ただ、二人の近藤は何もせず、無言のまま見つめ合っただけだった。朝日が差し込む仄暗い部屋のなか、無言の会話が繰り広げられていた。
 しかし、近藤はもう一度目を覚ました。平日の朝6時に鳴るようにセットしてある携帯電話の目覚まし時計が、元気よくスーツのポケットで鳴り出したのだった。ベッドの横に、もう一人の近藤は居なかった。不気味さと、その後に来る安堵の気持ちで一杯になった近藤は、布団の上で大きくため息を吐いた。
 夢の中で出てきた近藤は、一体何だったのだろうか。私服姿でスーツ姿の近藤を見つめる近藤。
 近藤と近藤?
 近藤は重い腰をあげてベッドから這い出る。シワクチャになったスーツを脱ぎ捨てて、新しいスーツを着る。そしてネクタイを首に閉め、会社へ向かった。
 会社では「大丈夫か」という身を案じる声が近藤にかけられた。それほど彼の外見は普段よりもヤツれていたのだろう。
「はい。大丈夫です」
と元気なく言う近藤を信じるものはいなかった。この状態を見た同僚たちは、極力近藤に仕事を与えないように努力をしていたが、疲弊しきっている近藤はそれにも気づかず、「何か自分にできることはないか」とまるで夢遊病者のようにパソコンを開いたり、同僚に話しかけたりした。近藤は朧気な意識の中で、なにかしらの仕事をして思考を停止させていないと不安に押しつぶされそうな気になっていた。

 「あのファイルをどうするの?」
そう話しかけられて近藤は目を覚ました。昼休憩の会社のデスクの上、キーボードを枕に彼は浅く眠ってしまっていたようだ。驚いて目を覚ました近藤は辺りを見回し、声の主を探ろうとしたが、見つからなかった。男の声でも女の声でも無かった。ただ、その声は曖昧な夢の声にも関わらず近藤の心臓にベットリとコールタールのように張り付いて離れなくなった。
 近藤は誰にも聞こえないように「近藤か」と言った。
 あのファイルをどうするのか。近藤はこの声を聞いて、今日こそは削除してやろうと決心をした。今日、家に帰ったら真っ先にパソコンを開き、無心でファイルを「ゴミ箱」にぶち込んで、「ゴミ箱を空にする」を押してやろうと。

 その日の夜、近藤は家に帰り、決心したことをそのまま実行した。今までとは違い、この日の作戦はいとも簡単に成功した。パソコンを開き、「自作小説」のファイルを消し、ゴミ箱を空にした。これでオシマイだった。近藤はファイルを消した瞬間、心に取り憑いていた錘が外されたような気がした。「これで俺は、完全に社会人としての舞台に立つことが出来た」と言い聞かせることが出来た。
 そう、言い聞かせるのだった。その声は、自分の中で自分に語りかける者の声であった。この現状から脱却するには、近藤はこの「もう一人」を完全に抹消しなければならなかった。そう考えると、「自作小説」のファイルを消したことは何の意味もないのではないかと近藤は考え始めた。彼が過去に作品を書いていたという事実は、たとえファイルを消したとしても消えはしなかった。過去の読者を全員殺したとしても、消えはしなかった。近藤の中で、呪いのようにずっと残り続けるのだから。
 近藤はどうしたらいいのか解らなくなった。社会人として自立をし、これから四十年仕事に精を出さなければならないというのに、俺はこんな気持ちの悪い学生気分の「過去の自分」と向き合っていかなければならないのか、と。静かに、蛍光灯が放つ振動音に包まれた部屋の中、近藤は自分の鼓動と吐息に意識を奪われながら、この過去の自分を抹消する方法を考えていた。しかし、考えても答えなど見つからなかった。生きている限りは、過去の自分を背負っていきていくしかないのだろうと。
 嘘とは、自分を偽ることだった。他人を偽るなんてかわいいものだった。消化し切れない沢山の出来事に目を瞑って、目的のためだけに時間を過ごす事だった。少なくとも、近藤にとっての嘘はそうだった。感じること、疑問に思うこと、沢山ある。子供のときから「感動・感受性」を国語によって植え付けられてきて、世の中には感動のドラマや映画、小説が溢れている。しかし、それを受け取る際大切なのは、それを深く感じ取ることではなく、「あ~おいしかった」と言い、すぐに箸をおくことだった。物事は深く考えてはならない!

時は流れて行った。蛍光灯の電気を消し、部屋を暗くした。そして、眠り、会社に行った。食べて、会社で働いて、帰って、寝て。たまに会社の同僚と酒を飲み談笑をした。全部会社の話だった。楽しいことも、辛いことも一杯経験した。確か、経験したと思う。余り覚えていない。結婚はしなかった。子供もいなかった。最終的には部長まで行った。それなりの収入があった。親が死んだ。
四十年の間、近藤は考えるスイッチをoffにして、過ごした。

 初稿 平成二十二年六月十日
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